クレゾールは時計仕掛け/
 
は、私が今
デジタルに
こだわり続けているのと同じように
とりあえず倉庫は
細君に頼んで、すべての窓を開け放たせよう


よく晴れた空に
そよぐ風

書斎にはウヰスキー



ふと、本棚の隅に仕舞い込んだっきりの
古びたアルバムを読み返す
いつもは洋酒の薫りで癒される筈の空間に
今日ばかりは 風に乗って
ほのかに漂ってくる
消毒の臭い
あれは、望郷の念
古びたアルバムの中には
四隅の破れた、何枚もの黄ばんだ白黒写真
ぼやけて写るのは、幼少の頃の
あの子と 僕
ひたすら辛いばかりの日々にも
陽は確かに
射していたのだ、ということを


懐か
[次のページ]
戻る   Point(4)