クレゾールは時計仕掛け/
 
掃除がてら、倉庫の中を漁っていると
どかした箱が崩れて 戸棚に当たり
中から石鹸液の瓶が転がり落ちて
割れて
辺り一面に
昔の病院、独特の
何とも言えない、嫌な雰囲気が立ち込めた


臭いは中途半端に強烈で
思わず眩暈すら憶えるほどに
雰囲気には記憶が伴う
ひとりぼっちの病室
窓の外は降り止まぬ雪、雪、雪
詩情なんて、どこにも無い
在るのは脈打つ秒針が、心を蝕み続ける日々


引きずるようにして
倉庫の荒波から抜け出し、船上に上がると
泣いていた 何時の間にか
内部に篭った、独特の臭気が
いくら換気したところで
到底 消えることは無いだろう
それは、
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