「一粒のダイヤ」/ベンジャミン
ある日
「生きることは汚れてゆくことだ」と
あなたは言いましたね
その言葉の意味が分からなくて
僕は不安になりました
またある日
「人の心はダイヤの原石のようだ」と
あなたは言いましたね
その言葉の意味も分からなくて
それから長い間考えていました
けれど最近になって
あなたが言っていたことが
やっと分かってきたように思います
僕も随分汚れてしまいました
生きるほどに
純粋さが消えてゆきました
ただ
あの日あなたが言ったように
僕の心の中にも
一粒のダイヤが埋もれています
白いノートに向かうとき
透明な気持ちに包まれる
どんなに汚れてもいい
たった一粒の
心のこもった言葉を知っていればいい
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