一夏 (side A)/まほし
洗面器に金魚を二匹放したら波紋にひかる新月の影
告白に一瞬ときがとどまって乱反射する川が痛いよ
自転車に初めて乗れた日の風を呼びおこしてる恋のはじまり
まひるまの星のパルスに目眩んできみのうなじにとかす火照りを
ミクロンの誤差にゆらいで手をつなぐふたりは対の櫂(オール)のようで
「オ互イノ未来ノタメニ」おとといの豪雨にひとり、今も濡れてる
(つまさきに銀の逆流)夏草にはしゃいだ日々はちぎれて空へ
青光る線香花火の玉落ちて目覚めたら秋千色の窓
戻る 編 削 Point(13)