HALLOWEEN/10010
 
宮沢賢治


融銅はまだ眩(くら)めかず

白いハロウも燃えたたず

地平線ばかり明るくなつたり陰(かげ)つたり

はんぶん溶けたり澱んだり }



ハロウ。月や太陽の「暈」、とも「後光」、とも訳されるHaloはまたキリスト教図像学に於けるいわゆる「アウラ」でもある。アウラは、本来、死したのち復活し昇天したイエスを象徴するもので、半ば「この世ならざるもの」として聖別(Hallow)するための記号であった。自分の誕生日の前日に生まれ、自分の死後に再び生まれた男。最も普通の人でありながら、最も一度も普通に生きたことのない者。

アウラは「この=世界」の境界であ
[次のページ]
戻る   Point(2)