反物/茉莉香
 

紡ぎだされる現実は苦しくも
様々な色を添える

深紅が飛び散れば
花となり やがて枯れゆく茶となりて
貴方を包み

布はみるみるうちに思い込みにまみれ

煌びやかな虚栄がそこ此処に形を成し

貴方はひたすら紡ぎ続け

空虚な世界を彷徨い続けて
細く細くなった糸は 最後に音もなく
ぷっつりと 消えゆく

残像は変化を辿り美しくも儚い味を添え

反物は仕上がりて
貴方はそれを羽織り舞う







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