わたしたちの前転/捨て彦
学校の階段を
えらそうに前転しながら降りていくわたし(わたしたちは)
新品の
たわしをいつも持参しているので
タイミングを計っては
開きっぱなしの窓に向かって
たわしを力まかせに放り投げる
(それを阻止するのに掃除のおばさんは今日も必死)
逃げる際に一番重要なポイントはやはり
目にも止まらないスピードである
あるいは喋りたくってたまらない舌である
単
に疼きたくてたまらないリビド、という噂も聞く
つまり、
わたしのお弁当箱の中で箸が落ち着きもなく転んでいるという話
ですから
うふふ、と言いながらわたしたちは
その比喩を隣町の王様に託
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