*追想*/知風
ほれ、そこの足元のぺんぺんぐさ
それくらいの砌からここに立っておるでね
ここらならまぁたいていのことは知っておるよ
たまにあんたみたいな
動き回る奴が訪ねてきおって
なにやかにやと尋ねおる
何を探して彷徨うのやら
儂にはとんと見当のつかない話だが
まぁ
老骨の愚痴でよければ
ゆるりと聞いてゆくが良い
最近はめっきり寒うなって
足元の小さい奴らも
すっかり黄色や茶色になってしもうた
ついさっきまでふたばだったのが
儂の居眠りの間にもう花をつけて
そして枯れていく
なんともせせこましい限りじゃないか
あの空き地のあたりに
とんがった白髪
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