【中編】不老不死の男/橘のの
*
彼女は
心音の優しい娘でした。
共に暮らした日々に
確かな安らぎと幸せを
感じました。
きっと
愛していたのだと
思います。
なのに薬の存在を
打ち明けることは
なぜか
ためらわれたのでした。
永遠を分かち合うべき人がはたして
ほんとうに彼女なのか
ついぞ
答えは出ませんでした。
そして
そんなある日
なにも言わずこっとりと
彼女は死んでしまったのでした。
私はたぶん
この時
答えを間違えたのだろうと思います。
*
さらに日々は去り
刻まれ
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