希望行/水中原動機
 
目の前の風邪薬を
全部飲んでしまいたい
衝動にかられてしまったので
空を見上げました

ここは一晩中仄かに
白明るくて星のひとつも
見えやしない

虫の声なんかしないし
遠くに川のせせらぎとか
波の音なんてものは
聞こえないのです

それでも少しだけ
なぜかほんの少しだけ
救われたのは

触れる空気は冷たくて
風もゆるやかに流れていて
ゴトゴトゴトゴトスィ〜ゴ
トゴトゴトクィ〜

夜の貨物列車が絶望ごと
どこかに運んでくれるかも
なんて思えたからなのです





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