山栗/
杉菜 晃
毬栗が黄緑色に膨らんで
山の稜線を彩つてゐる
棘の一本一本は張りつめても
刺々しさはなく
光と風と大気に丸く包み込まれて
和んでさへゐる
さうしてなほも膨らんでくる
未来の充実を
腕のやうな細い枝に抱へて
差し出してゐる
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