農業/
 
軒先で繰り返される 喧騒は疎らな囀りで
それは押し寄せる細波や そよぐ木枯らしよりも小さい
時は氷河の流れよりも緩やかに 木漏れ日を浴びている
人々は これでもかというくらいの反芻を
享受しつつ 季節を手繰る
ひとつひとつ歳を重ねながら 育み続ける実り
それでも 天寿を全うするまでの
ほんの数十回しか 迎えられない笑みだから
手塩をかけて 労を惜しまず
可愛い我が子のように
両の手で 包む

孕まれし母体に慈しみを
産声を目の当たりにして穏やかに
すくすくと育つ 頬の柔肌を撫ぜながら
反抗期に耐え、看病に明け暮れて
大きく育った凛々しさに酔いしれるも束の間
嫁に出
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