花の種を撒くように
あなたはゆっくりと回転する
スカートが揺らめき
微かな銀色が
しなやかな指先から
こぼれる
それが
遥かに
風花のように
わたしに届くのだが
あなたが淹れる
珈琲から匂いたつ
やわらかな旋律も
窓辺を飾る
白磁の花瓶に
こぼれるように生けられた
あなたの想いも
平凡な日々も
何気ないしぐさも
照れて羞らうような
ささやきも
流れ流れて
雪をいだき始めた
蒼空の山脈を越え
ため息が出るほど美しく
きらめきながら
わたしに届くのだが
わたしに届くと
それらは
どうしてこんなに
つめたく 哀しい
光のひとつぶとなって
掌をさみしく
濡らすのだろう