百合/e R i
いつもそう、決まってそれは冬だ。
今年も真っ黒な服を纏って冬に泣く。
明日は、カラスが、泣く。
いかないで。しなないで。なんでもいいから、いきていて。
とほうもないね、ノンシュガーの茶色。
百合がふわりと枯れた。
水気のない、布の下の肌。
触りたいのに、年老いた白さが、細い爪に引っかかった。
君に逢いたい、もう一度で良いから、夏と同じ君に逢いたい。
エスケイプした夏の小旅行、トリップ。
そこにあったはずの荷物が見当たらない。
覚えたはずの道のりが思い出せない。
レスポンス繋げた画面が消えた。
願い事を缶ビールで薄めた。
夜空にキレイにとける色をし
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