陽はまた昇る/アマル・シャタカ
あの人が眩しく見えたのは
わたしが光に弱いだけで
あの人が美しく見えたのは
わたしが色彩に弱いだけで
あの人の言葉にクラクラしたのは
わたしの心が欠陥建築だったのであって
いえ
きっと世界がグラグラ揺れたことに
重なったからでしょう
だからこうやって
ぺしゃんと平たくなったのです
涙が出たのは
そのときの埃が眼に入っただけで
べつに誇りが傷つけられたとかそんなわけもありません
宇宙の塵の数ほどの
思いを反芻したとしても
わたしの頭で処理しきれないし
そんなこと
あの人には関係のないことでしょう
悲しみの雨が降ると
ぺしゃんこの廃材から芽吹くものがあります
それが何かはわかりません
でも
世界が美しい色に見えることはわかります
空気が綺麗です
今日も雨が降っています
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