ノート(風にあれ)/木立 悟
 


父去りて夏去りて今日ほどく紐



熱を捨て陽は降り急ぐ石の丘



涼やかな花には寄らぬ鳥と虫



触れるほど水はすばやく風深く



誰ぞ置く錆びし灯籠(とうろう)土まもる



流れずに流れを告げる石標(しるべ)かな



揺れる火に届けし今朝の夢ひとつ



飛ばぬもの飛べぬものこそ風にあれ







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