闇から/せんたく板
 

なぜ わたしの 喉は 熱いのか 

どうして わたしの声は 苦しげなのか

乾いた空気を 飲み込む

時は充填していく だのに

この満たされぬ 病





丘の上で叫ぶ 一人の 旅人

東の空から 月夜が 現れる

不吉な 紅い 月だ

なぜ 私を なぶる のか

私に 棍棒を 投げつけるのは 誰なのか

悟りのあとで 聞く 蜃気楼の 真如のように







さて さまよいながら 片足を 失う

立ち つくす 

そして 倒れる 

顔が砂に 埋もれる

手は 砂を つかむ

闇は 笑う

苦笑 する

闇は 失う 

両腕を失い 片足をもぎ 取られた






遙か 西の 彼方から 酒の精が 漂う

その精気は 私の鼻孔を 震わせる

私は 悲しくて 泣く

しくしくと 女々しく 泣いた

私は 泣いて 記憶を失った

絶望する術を 失った






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