くものうた/青色銀河団
斜地に
身元保証人が溶けだす 正妻から生まれること 悪い知らせ きれい事ばかり言う人 川谷沢の流れが合流するところ とくりと狭い口から液体がとくとくと出てくる 互いに隔たりがなくなり打ち解ける=融ける=溶ける
溶けて一つになる 少女 銃 首 種 スペイン産の白ぶどう酒
コバルト すべてが明るい青色の顔料に染まる!
存在する/存在しない俺
空の
匂いがたちこめるほど
夕闇は深まり
俺は鈍色に光る
ひとつの空間である
(微かな翅音はずっと止まないまま)
昨日から忘れさられた俺は
夕闇の狭い部屋に囲まれて
女の乳房を探っている
女の乳房を探っている俺と
女の乳房から探られている俺との
ちょうど中間地点には
えぐられた砂漠が横たわり
確かに存在する俺と
不確かにしか存在しない俺とが
共にざらざらとした青色に
溶けてゆく
情熱がはじめて夜明けを
打ち砕くとしても
ひびわれた渇きこそが
せつない観念の皇帝なのだ
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