午後 の 悪魔。/もも うさぎ
 
世界を彩るのは 虚偽だけですよ と

午後の悪魔が言った



実際は新聞の色

あぁ、実世界なんてもんはしまうまの色ですよ と

午後の悪魔が言った




言いっぷりだけを見ると

悪魔はもしかしたら

あまり新聞やしまうまを 好きでないのかもしれない




嘘をおつきなさい と

午後の悪魔は言う


世界が少しだけ カラフルになるから

嘘は秘め事の色

睫毛の色

午後の呆然とした空に

世界中の色彩を集めて



虚偽を否定するのは すなわち

愛を否定すること

愛を自己犠牲というのは


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