おやすみの日は/船田 仰
商店街の出口で今宵にくるまれた
生真面目なぼくらのバイバイを見届けてほしい
静まったシャッターのおくにはきっと
用意がしてあるんだよ
いつかするさよならのための
あたたまってさめた空気のいちばん下で
ふと見当をつけ
煙草一本あればすぐにでもつかむ
つかもうとするのはわかってる
ただあかりをかぞえるひまもなくって
街はもしかしたらもうじわじわ
動く
でもてがかりはそこじゃなかった
やっぱり
つかまない、ぼく
あいたいなんていわなくったって
もうさみしくなくなるよ
当たり前だよ
あらゆる輪郭の正確さだって許容できる
だから生真面目にバイバイを望んだりしてしまおう
まっくらに一番近い街に立ったって
もうさみしくなくなって
商店街の入り口みたいに
自分をかんじたりしないんだ
そっとありがとうだけ言って
また歩くことをおもいつこう
どちらともない沈黙に
キスしましょう
ゆびきりのないやくそくのおもみをきみは信じる?
まばたきみたいなキスしてみせてよ
おやすみなさい
また、いつかの休日まで
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