袋の中で光るもの/akane
袋があって、それは不思議に光っている
袋の中に光がある
頼りない光だけれど、そっと触れると暖かい
袋は何の変哲もないありふれたものだけれど、
中からこぼれる光が袋をこの世にひとつしかない美しいものにした
だけど光は空気よりもずっと軽くて、
しっかり縛った袋の口から少しづつ漏れでていく
光は空へ帰っていく
光がなくなって、ただの袋になってもいとおしいのです
やさしい暖かさを感じなくなり、やがては朽ちてしまってもやはりいとおしいのです
それは袋が輝いていたのを知っているからでしょうか
私がいとおしいと思ったのは袋の中の光ではないのでしょうか
そんなことはどうでも良いのです
私は袋の、あの頼りない輝きを忘れないのですから
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