くじらのいるそら/夕凪ここあ
 
昨日のこと。
夕暮れる空をくじらは泳いで
大きなくじらのそばには
半分ほどの大きさのくじらがいます。
小さなくじらは泳ぐのが苦手なので
大きなくじらよりも先に
尾が橙色に染まってしまいます。

橙はたいそうあたたかく
それをえらく気に入った小さなくじらは
とうとうお腹のあたりまで夕暮れ色です。
心配そうな大きなくじらに小さなくじらは
 夏の真ん中にいるみたいなんだもの
と、ころころ笑いました。

夏はとうに過ぎ去り肌寒い風が取り囲みます。
真っ白な体のくじらたちは何もかもに染まりやすいので
故郷の海に帰るために道を急がねばなりません。
(夜の色に染まってしまって
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