荒川洋治を読んでみる(七) 『楽章』/角田寿星
 
 世代の昂奮は去った。ランベルト正積方位図法のなかでわたしは感覚する。


とうとう『楽章』まで来たね。前半のクライマックスだ。ぼくはいつも、この冒頭の一文に殺されてしまう。読むたびに、何度も、何度も。蘇生するのに時間がかかって、おかげで評が進まなくてしかたがない。
まあ、「世代の昂奮」てのは、全共闘でしたっけ、学生運動がなんにも産み出すことなく終焉をむかえたことを指すんだろうし、「ランベルト正積方位図法」は、アレです。例えばアンカレッジ経由や北極回りの航空路の地図。または、北極探検隊がたどったルートの図。中心点(北極や南極が分りやすいけど、任意の点でもオーケー)から放射状に経線を伸ばし、
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