おタマヶ池/千月 話子
にゃんにゃこりんの にゃんにゃこにゃ〜
にゃんにゃこりんの にゃんにゃこにゃ〜
どこからか鈴の音と 日向が窓辺に
秋祭りだろうか 風にあんずの匂いを乗せて
午後三時 コタロがお腹を空かせて鳴くものだから
カリカリを少しだけ小皿に乗せた
私もせんべを一口かじってみたけれど
擦り減った犬歯では あんなに鋭い音はしない
共有した固形物は魚と醤油の臭いを混ぜて
部屋の真ん中で ゆらゆら
南の窓から早く甘い甘い花の香りがしないかと
遠い庭園の 低い木の黄色を夢見る
ムートンのカーペットに頭を乗せて
コタロの耳はペタンと眠る
手足がうまいこと 右に左
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