海についてのいくつかの小さなお話。/夕凪ここあ
 
泡立つ波、
と水平線。}



目覚めると藍色の空と藍色の海
波の音だけが呼吸のように止まない
凪いでしまった夏、
目指した水平線は見えないとこにある、今は。




炭酸 砂浜 くじらの鳴き声
ざざ、ざざざ・・・
夕凪 サンダル バス停
くじらの鳴き声 水平線
ざざざ、ざざ・・・




波打ち際で迷っていると
空色の少女は行ってしまった、同時に夏も。
あれは月のない夜で
海の底にいるようで。




海の方から来た少女、
扉を開ければすぐ海に通じてた
はずの懐かしい夏の日、もう遠い。




の本に挟まれた蒼い栞は空のようで海のようで
隙間に小さく光る砂は懐かしい潮の匂い
最後のページには
いつかの少女
  の色。




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