ある詩/霜天
 
「ブランコ」

最後の友人が
ブランコから飛び出した
着地点
そこに、ある詩があった
結局誰も最後まで読まずに
飛び越えていくものだから
もう
あちこち千切れてしまっている
拾い集める
と、いうことよりも
ブランコより加速、飛び出して行く僕の腕の中で
君の腕時計は確かに逆回転をしている
という事実が



「火災報知機」

鳴り響く瞬間を、誰も見た覚えがない
押してしまった人の背中を、誰も追いかけたことがない
あの部屋のドアを押し開けて
右から五番目の廊下に入る
明るく輝く赤いスイッチの影に
僕からの「    」を隠しておいたけれど

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