銀色/玉兎
 
銀色になってゆく
宵の入り
私たち
あのベンチに
座って
帰りたくなくて
手をつないで
いたけど

ふと
通りがかった
あのベンチ
あの頃の
私たちと
きっと
同じ気持ちで
座っている
二人が居たのよ

あのベンチから
卒業して
もう
何年過ぎたかしら?



くすぐったい
気持ちを
抱いて
一番星
見上げて
帰り道
私が
ぶら下げているのは
ちっとも
ロマンチックじゃない
スーパーの袋だけど
あんまり
上手じゃない
魔法をかけてできた
料理を
ほこほこ
あなたと
かこんで

あのときより
穏やかな
銀色の
明かりの下で
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