放蕩/白雨
外灯のない家路を辿っていると、ある家の玄関にひとりの女の黒い影が見えた。
それは私に手を振って、投げキスを数度した。
だがそれは幻だった。ただ壁に絡まった蔦をむしっているのにちがいなかった。
私は彼女に恋をした。ただ幻という方法で。
さあ、今日からピエロになろう。
手品て何か知っている?
嘘つくことではないんだよ。
本当のことを嘘にしてしまう技術なんだ。
君の人生も、生活も、手品で嘘にしてしまおう。
ただちょっと、お金が要るけど。
、というのは冗談。
要るのは馬鹿になる勇気。
恋とは何でしょう?
恋はお金で買えません。
夜とは何でしょう?
虹のしたで休む乙女。
ああ雨が 街角で待つ君の髪を梳くよ。
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