ひつじ雲/LEO
しんと静まる部屋の片隅
迷い込んだ虫の声
リリリと鳴くは鈴虫か
秋の気配が深まりつ
冷気が足先に絡まって
空を切る目に
眠気はちっとも訪れない
天上を柵に見立てて
ひつじを数えた
一ぴきから始まって
ひつじが二ひき
ひつじが三びき
九十九まで数えたら
窓から月が顔を覗かせた
ひつじが百一ぴき
ひつじが百二ひき
四百九十九まで数えたら
流れる星がちらりと見えた
五百一ぴき
五百二ひき
迷い込んだ虫も寝静まり
音はなくても月明かり
いくつのひつじを数えたか
忘れてしまったその頃に
夜が白々明け始め
露のおりた窓が
ひんやり優しい風を招き入れる
見上げた朝に
夜長に数えたひつじの群れが
空いっぱいに並んでいた
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