旅路/長谷伸太
悲しみてぇもんは
大きかろうが
小さかろうが
とんでもなく重たい荷物
持主にしかどんなに重いかわからない
かわりに持ってやる事もできない
置いていこうにも手からはなれない
とんでもなく厄介な荷物
そいつをうんとこせ、と背負って
見せる笑顔は
なんてまぶしいのだろう
誰もが
こいつだけで手一杯になるわけにはいかないのだ
行商の婆さんが
曲がった背中にどすどすと
野菜だのをのせていく
ワシの背中にはなんだってのるんだ
と
笑っていった
私にもたくさんの
運ぶものがある
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