旅路/長谷伸太
 
悲しみてぇもんは
大きかろうが
小さかろうが
とんでもなく重たい荷物

持主にしかどんなに重いかわからない
かわりに持ってやる事もできない
置いていこうにも手からはなれない
とんでもなく厄介な荷物

そいつをうんとこせ、と背負って
見せる笑顔は
なんてまぶしいのだろう

誰もが
こいつだけで手一杯になるわけにはいかないのだ

行商の婆さんが
曲がった背中にどすどすと
野菜だのをのせていく
ワシの背中にはなんだってのるんだ

笑っていった

私にもたくさんの
運ぶものがある

戻る   Point(7)