白彼岸/
本木はじめ
ハーモニー、櫂のしずくに呼応する空が茶色に透過する午後
目という目、口という口あつまってAの会合ひらく廃村
風の影みつける蝶やカーテンのおおきく呼吸している窓辺
ラ、ラヴェル、ゆびの合間をたわむれてゆく水清き十月の自死
舌の裏舌で舐め合う泥くさくない泥なんてあるのだろうか
果樹園をさまよう母と父がいてまもなく出会うだろうわたしに
秋風に違う名を付け呼び合った白い彼岸の花の咲く朝
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