雨と殺戮/M?lodie
伴わない安寧を
手繰り寄せるように呼吸をする
いつも何処か背中越しに
冬の匂いを感じているのは
私が冬生まれだからだろうか
それとももっと違う何かがあるのか
雨降りの音を追って
傘をまた無くした
メトロに置き忘れられた水色は
必要な誰かの手に渡っただろう
ドラッグストアの店頭に
たかだかワンコインと引き替えで陳列された
水色や赤の中から選んだ
可もなく不可もなく思い入れもなく
だから冷たい私の手はすぐに
忘れてしまうのだろう
何もかも全て
白くて人に褒められることの多い手だけど
何一つ守ることも出来ない
冷酷な私の底を映しているようで
時々笑えてしま
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