夏の音/たもつ
 
さいという苦情があって困る
そもそも、契約書のこの部分にそう書いてある
さっさと捨てるか、さもなくば出て行って欲しい
すごい剣幕で怒る

彼女と三日間、思案と議論を繰り返し
結局、捨てることに決めた
ひとつひとつ丁寧に外し
燃えるゴミ
燃えないゴミ
リサイクルできるゴミ
に分別する
リサイクルできるものはさらに
アルミ缶、その他の缶、ビン(色別)、紙類、布類に
仕分けする

一度には捨てきれないから
何度かにわけて少しづつ捨てる

シャリン、チャリン、パチン、カチン、グシャ

捨てるときに音がしたけれど
それはもう、ただの音でしかなかった

最後に残った粗大ゴミは
市の清掃局に電話して取りに来てもらうことにした
まもなく八月も終わる

最後のゴミを運んでいく収集車を見送りながら
夏休みの宿題に追われていたころだね、と
二人で笑って、すこし泣いた




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