がらくた箱/
白雨
さて君の心のうちは傷になるほどよくわかったが、
それでも君は奪えまい
その匂いと
ふたつの瞳
君のこしらえた憶い出は
思い出すほど麗しい
そして君にはおぞましい
晩年の猫の瞳の陰険さ
生活の影に隠れた暗号は
君に漏れずにはしまわなかった
それが僕にはありがたい
屋根裏部屋のがらくた箱に
君のふたつの瞳はしまってある
おまけに ああ、晩年の猫の目もまた、
忘れようにも忘れまい
奪いようにも奪えまい
、君。
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