ねがい/船田 仰
 

あったかくなったとおもったのに
きょうの朝もひみつみたいにひんやりとして
ねむい
重たいあたまをひきずる

あの人と会うようじがあるんだわ
埋まりすぎることのないページ
シャーペンのしんをノックノック
出てこない
なにも

そうして街をあるきだして
もう一枚シャツをかさねたら、とか
伸びきったマフラーを洗濯しよう、とか
あたしにとって生きるに十分なのは
必要なものを知ろうとしているから
なんだな

まがりかどで自転車をうかがう
あさはやくのまちは酸素でいっぱい
いっぱいいっぱい
なにも浮かばないとおもうとぞっとする
しん、とせがまれるようにひんやりした街角で
きみを
おもう

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