incompetent/マッドビースト
い
なにもできないが
詩もおそらくは書けないのだが
詩が書きたい
幾許かの質量を持っているこの体が
(広大な無の宇宙の中で偶然結実しているこの質量が)
体の奥でか細くともまだ消えていない青い精神の火が
何某かの意味を持っていると訴える
なにもできないと思う夜にこそ
精神と肉体が反言の詩を書かせる
詩が書きたい
僕は冷めつつある宇宙の只中にいる
全ての比喩が使い古され世界が止ってしまう前に
一遍の詩が書きたい
今一つの精神であった証の詩が
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