切られた枝/佩慈の工人
 
引き伸ばす空もない朝花びらは色を濃くして道を千切った

高い柵取り残し飛ぶ鳥からも奪えるものはあると思う

雨だからドアにはりつく葉の傷は治らないのだ言い訳のように

背に生える蕾を思う病巣になった肉にも血は流れ込む

一つ残る実も消えた空鋭角の葉に刻まれて泣きもしないで

渡らない鳥の縄張り踏みしめて覗いた水には映らない影

えぐられた坂に差す日を飲み込んで通った先へも今日は行かない
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