奏/桐野晴
響きあって
何かをつかんだはずだったのに
人は貪欲でひとつ手に入ると全部がほしくなる
そんなことは当たり前だけど全部がほしい
どんどんどんどんほしくなって足らなくなるなんてよくあることで
人は順応性が高くわりとどんなことにでも慣れていける
ただ慣れはすべてを見えなくするからものすごく怖いコトだって気づかない人は多い
私はただただ怖いんだ
慣れで何もかも見えなくなってしまうのが
つかんでいるものもつかんでいないものも見えなくて過ちを犯す
たった1ミリの傷跡が
過ちに、慣れに、抉られ傷を広げていく
痛みにさえも慣れてしまったとき
見えない傷跡はどこまでも広がり、深くなっていく
奏でられる不協和音に気づいたときはもう遅いんだ
なにもかも
回復力を失い、慣れてしまったココロでは取り戻せないものが多い
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