水力電気/あおば
 
囓りかけのパンを
置き忘れて
二人は立ち上がった

九官鳥の羽根を身に纏い
新月の夜は巡るのだと
顔だけを空に向けて
歩く

垂れた電線を潜り
蛇が
鎌鼬のような顔をして
平行線の隙間から
逃げる機会を窺っている

歩いていく影のような二人が
平行線を残して
夜を切断するのを助けるのは
お前達の
水力電気

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