Another Ending(1)/和歌こゆみ
『自然』というのも白々しいほどいつも、
傍らに彼がいたから。
――――――「凉。」我に還ると、暗がりの中、覗き込む黒い瞳があった。
「眠いの?ご飯、できてるから食べなよ」
「あ、うん…ありがと」
慌てて起き上がると、彼が体を支えてくれた。
この人はいつもやさしい。
昔のことを思い出すのさえ、時折申し訳なくなってしまう。
どうして私はこうしているんだろう。
幸せなような、怖いような、そんな気持ち。
未だに私は、足元をすくわれてしまいそうにしている。
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