小さなパン屋/
杉菜 晃
海に憧れるやうに
幼い頃から
パンに憧れてきた
男がある
憧れは
日に日にふくらみ
パンのかうばしさは
街筋を流れて止まず
憧れは夢に
夢は幻に
幻は無限大となり
つひにパン屋の開業となつた
路地の突き当りの
小さなパン屋
戻る
編
削
Point
(8)