小さなパン屋/杉菜 晃
 
 


海に憧れるやうに
幼い頃から
パンに憧れてきた
男がある


憧れは
日に日にふくらみ
パンのかうばしさは
街筋を流れて止まず


憧れは夢に 
夢は幻に
幻は無限大となり


つひにパン屋の開業となつた
路地の突き当りの
小さなパン屋



    
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