プラスマイナス/佩慈の工人
 
小石ひとつ足して水位を上げる空目指すと聞こえる芽吹かない木々

星を曳く枝先の花萎れかけ助けたと叫ぶ鳥をくぐらす

弾くことのなかった楽器ただ影に指先を足し待つだけの肩

線を引く音 道に立ち肘を折る狂いのない幅確かめながら

隅までと背を向け引いた影の持つかけら足すまで待てるだろうか

ここに落ちる鳥がいるはず十六の 錆びたフェンスで袖は染まった
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