城下町/
白雨
夜風さすらう夕暮れに
秋はひとりで花を買う
辞書は窓辺でつまみ喰い
寂しさに 疲れあぐねて・・・
花篭は からげのままに
草わけて 進みゆく歩哨兵
やがて時計の喇叭がなる
―おや、時間?
街の機械が正常に戻る
猫が主人の帰りを待つ
歯車がひとつすすんで、
辞書が「冬」の文字板に針を移す
戻る
編
削
Point
(4)