cricket/マッドビースト
 

遠い海の向こうに旅立った夏を惜しんで
夜露にハイビスカスは濡れている

もはや冷たい空気が僕らに厳しい季節を旋律させる

命は
守らなければ溶け出してしまうのだと
白昼夢から覚めたように
はっと
僕らは気づく

なんという甘えた日々

陽が沈んだ今は休戦だ
君にも優しくしよう と
世界が耳元に囁く

命は
溶け出してしまうことを僕たちは気づく

透き通った美しい声の虫たちが
どれだけ悲しい前世を過ごしたかは知らない
泣き続ける夕べ
その中に加わり
まだ見えない透明な羽を重ね合わせ
肌を硬くして身を縮める

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