N極/長谷伸太
何もわからなくなってしまった
一緒にならんでいたんだ
同じ方角を見ていたんだ
いつも真直ぐに前を見つめていたんだ
右から左へ太陽や月が移っていくのを眺めながら
冷たい風のやってきた向こうには
きっと綺麗なものが沢山あるだろうね
わくわくするような暖かい風が
スキップしながら吹いていくこの先に
一体何があるだろうね
前ばかり見ていたある日
ある日はじめて
私は君を
君は私を
向かい合って見つめたんだ
同じものを見ていたのに
いつも一緒にいたのに
壁も何も遮る物が無いのに
私と君は
一緒に見つめた向こうよりも遠くにいるみたいなんだ
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