不思議な関係/桐野晴
 
泣き虫なきみと 不思議な関係

強がりで泣かないきみはとても泣き虫で
いつも堪えた涙は
いっぱい溜めてある
ぼくのところにくるころには
体中涙でいっぱい
ぼくが蓋をあけてあげるんだ
蓋はあいつにはあけられなくて
ぼくだけがあける

あいつときみはいつも一緒で
ぼくときみはいつもバラバラ
いつも柔らかい微笑みを崩すことないきみは
いっぱいになったときにだけ
ぼくのところにくるんだ

泣き虫なきみと蓋をあけるぼく

あいつはダメだね
泣かなくて
強がりで
笑顔の下の泣き虫を
気付いていない

あいつのきみは
強くて笑顔のきみ
ぼくのきみは
弱くて泣き虫なきみ


泣き虫なきみと蓋をあけるだけのぼく
不思議な関係
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