月とふたりで/白雨
 
 暗い夜中と散歩した
 あの思い出は忘れまい
 空に一羽の白鳥が飛んでいた

 躊躇うな、―やっていいんだ
 機会は魂のなかに訪れる
 うら若い紳士(・・)の中におとずれる

 腐った林檎 
 道端の
 輝かしい赤!

 理法を超えておとずれる
 奇跡が
 死神の仮装して・・・

 散歩はだいなし!
 ・・・これでこそ、僕の夜、
 グールドの月の哄笑

 月とふたりで
 僕たちは
 新聞紙の飛び散らう街の閑散を行く
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