秋の「ありがとう」は栗の味がする/ぽえむ君
 
「ありがとう」と言われたその瞬間
なぜだろう
口の中に栗が入ってきた

思わずその栗を噛み砕く
栗の味とその匂いが
自分を包み込む

なぜだろう
食べてもいないのに

そういえば
今年はまだ栗を食べていない

何かを気づかせる
「ありがとう」

夕焼けを眺めながら歩いていると
部活帰りの少年たちが
自転車で後ろから通り抜ける

栗が転がってゆく
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