白の質量/umineko
祖父が亡くなってからずいぶんの時が経つ
お骨になった祖父は白く そしてもろかった
まだ暖かい祖父の骨を私たちは火ばしでついばむ
生きている者を火ばしで持ち上げたりしないすなわち
祖父は名実共に祖父ではなくなり
白い質量としてそこにある
証左として
私はよく怒られた
祖父の語る物語はどこか荘厳で
スサノオとヤマタノオロチの伝説を
私は正座して聞いた
祖父の厳しさが
私はだから苦手だった
厳しいものを子供は愛さない
たぶん人は知っているのだ
そうして大人は寛大になり子供たちは油断し
世界はやがて崩れていく
持ち上げた祖父の白い骨
その薄さは貝殻骨 肩
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