究極のそば屋/二条 敬
て注文しようとした。
だが、究極のそばくださいなんて
なんだか気恥ずかしくて言えない。
「もりそばください」
とそう言った。
するとおばあさんは、「究極の?」と軽い感じで聞いてきた。
そりゃあ確かにもりそばは二種類あるけど・・・
おばあさんよく口に出せたなあ。
そばが運ばれてきた時目を疑った。
そばが三層に分かれ、真ん中が緑がかっていたのだ。
これは期待できる!
食べてみると・・・普通だった。
普通においしかった。そこで、よくよく考えてみると、
あのおばあさんは味じゃなくて麺のことを究極と言っていたのだと悟った。
味を捨ててでも麺にこだわるなんて・・・確かに究極だ!
そして、私はおばあさんの職人魂に感服しつつ、お金を払って店を後にした。
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